自死

坂口恭平氏の『精神病は存在しない』という言説について

僕が尊敬してやまない人の一人です。坂口恭平。 僕の仮定ですが、いわゆる、精神病は存在しないのではないかと思ってます。もちろん落ち込むなどの症状はあると思いますが、精神病と診断されていることに決定的に疑問があります。ということで病気別の人の特…

故人の存在を『履く』ということ

已むに已まれぬ気持ちで記事を書くのは珍しい。頭の底から出してくれと叫ぶような何かがある気がして、それを探すような感覚で文章を書いている。 つい最近。今年も、高校のときに自死で亡くなった友人の墓参りに行った。これで六年目になる。もう六年、とい…

「モノ」と「者」から見る反出生主義のグラデーション

最近、またまたそんなことを考えている。いつまで考えるのだろうか。死ぬまでだろうか。 僕たちの中にはしばしば、子供なんか産めるものかと考える人がいる。それが少数派なのかどうかはいまいちわからない。ただその傾向が今までに比べれば強まっているのは…

『『だから僕は"人生"をやめた』』【後編】

www.mattsun.work 前編で話したのは、我々は恋愛ではなく失恋なのだということだった。 それを、ヨルシカの曲に重ね合わせ、そこにひとりの人生を投影してみたいと思った。 『だから僕は音楽をやめた』の歌詞に見てみる www.youtube.com 歌詞を全文載せてお…

『『だから僕は"人生"をやめた』』【前編】

『だから僕は音楽をやめた』というのは、ヨルシカという音楽グループの曲だ。もう3年前の曲だが、ひょんなことから知ることになり、初めて聞いたとき、ああこれは、本質の曲だ、そう感じてしまった。 www.youtube.com だから僕は音楽をやめた。それは、ただ…

自殺するより前に。光になるより前に。

自殺とは即ち速度なのではないか、と思うことがある。 観測史上もっとも速度を持つものは光とされている。自殺とは、光に似たようなものがある。 理系の一部の人間以外を置いて行く議論だが、相対性理論というものがある。あれは何を語っているかと言えば、…

漂白される銀色世界とコロナ、個人主義の果てに【後編】

www.mattsun.work 前編では、管理主義から個人主義への推移で自殺が減り、個人主義をさらに過激にしたのがアドラー心理学ではないかという話をした。そこにコロナが介入した結果、どうなるのか。 コロナが必要としたのはウイルス免疫ではなくヒトの加害免疫 …

漂白される銀色世界とコロナ、個人主義の果てに【前編】

自殺を考えない日はないと言っても過言ではないほどの日々を過ごしている。このブログに書く記事だって何かしら最終的には自殺と結びついているし、小説を書くときだって、自殺をテーマにしない文章を書いたことは一度もない。 さて、話は横に飛び、現在ちょ…

そんなのボクには痛くない

水曜のダウンタウンで、かつて面白い企画があったのを思い出す。 町をゆく人も、何かしらそれを持っていた。 たまたま生きているということ ボクたちが生きているのは、各場面での「99%」を寄せ集めた上での偶然に過ぎないということは、せわしなく生きる中…

年の暮れ、反転する世界

「しんどいよね、年末年始って」 除夜の鐘の音は、脳の底を撫でるように響く。 「自分が誰の一番でもないってこと、思い知らされるっていうか」 画面の中では、双子だろうか、幼い男女の兄弟が、お揃いのダウンジャケットを着て楽しそうにはしゃいでいる。 …

自死を語る者の"ハピネス・バイオレンス"

一つの記事になるくらいに面白いことがあったので、せっかくできたネタを無駄にはしまいと、さっそく記事にしました。 自死に対する意識の話です。自死を防ぐために「備えておこう」と考える人たちと、幸せになることのとてつもない暴力性について。この日本…

反出生主義と安楽死―「生まれてこないべき」と「今死ぬべき」の境界―

たまにTwitterでこんなプロフィールを見かけることがある。 「安楽死」は当然の権利、反出生主義者 それを見るとき、僕にはどうしても違和感が拭えない。安楽死と反出生主義は対立概念ではないかと僕は考えているからだ。 ****************…

己が自殺を思いとどまること、他人の自殺を止めること

自殺の計画を本気で立てたのは三回目だった。 一度目は去年の春だった。ちょうどコロナが蔓延し出し、国民がやっと危機意識を持ち出す雰囲気が出てきた頃だ。精神科で渡された抗うつ薬の副作用がきつすぎて、部活の引退試合に出られないことが決まった時だっ…

プロローグ

誰かと分かりあうことは、時にとてつもない苦労を伴う。 その苦労の正体を見定めるのに必死だった。 苦労は何故にあるのか。その答えとして一般人が用意する様々な答えに私は辟易してきた。 ――今の苦労が将来には光に変わるんだ――――生きる意味は死んだときに…

優しくなれる、幸せな人たち。

この世には、優しくなれる人たちと、優しくなれない人たちがいる。 僕は優しくなれる人だ。他の大勢も、ほとんどが、優しくなれる人たちで構成されている。 他人に優しくあることは美徳である。困った人がいれば助け、自分が困った時に助けてもらえる、それ…

文化のセックスに切り捨てられる人たち

最近ある本に出会ったことで、自殺についてさらに自分の知見が深まったような気がするので、今回はそれを書きます。どのような話かと言うと、自殺の犯人は誰なのかということについて、今までより具体的に言語化できるようになったかもしれない、という話。 …

自分の意志はどこまで存在していますか?

酒が人を酔わせるのではなく、その人のもともとの本性を酒が暴くのだ、みたいな格言があります。 そして、それに感銘を受ける人がいます。そうだ、酒のせいにしないで自分を見つめなおせ、みたいに。 このように考えられる人を見たときに、羨ましい、と感じ…

この世に生まれることは悪なのか

反出生主義、という考え方がある。これは文字の通り出生に対して否定的な立場をとるもので、この考え方に自分は30%ほど共感できる。 反出生主義という言葉を聞くのが初めてである人にとっては中々受け入れがたい考え方であるかもしれない。きっとその人たち…

自死遺族をそっとしておくことは健全な策か?

昨日、初めて一日に二つの記事を書いたが、溜まっていたものをパッと出せたのですっきりした。性に関して加害と被害の関係から、男性視点で起き得る問題を指摘した。www.mattsun.work www.mattsun.work 性を加害被害の関係でしか捉えられてこなかった自分は…

心配されることへの”抗議”

「人に心配をする」という感情がある。 知っている人が事故にあったりなんかした時に、その人の安否や状態が気になって「大丈夫かな、無事かな」なんて思う。この感情を、我々は、他人を思いやる素晴らしい感情だとして教育されてきた。 しかし自分の身近に…

安楽死を認めるか―自己決定の観点より③―

自己決定の観点から安楽死を考えるのは、これで最後にしようと思う。前回の二個の記事をまとめると、①では「自己決定」という言葉による自己の体と心の距離の話、②では自己決定と権利という言葉の意味を深く考えた。 www.mattsun.work www.mattsun.work 今回…

安楽死を認めるか―自己決定の観点より②―

前回の記事に続き、安楽死を認めるうえで重要な議論になるであろう「自己決定」を考察していく。前回は、自己決定という概念を、「私自身と、私の体の間にある距離感」という観点から考えた。今回はそこに続く話でもあるので、ぜひ確認してもらえると嬉しい…

安楽死を認めるか―自己決定の観点より①―

前回の記事で、日本でもっとも有名であろう二つの安楽死事件を取り上げたうえで、その判決に関しても記載した。 www.mattsun.work くどいようだがもう一度振り返っておくと、安楽死において重要となった用件が、以下である。 1患者が耐えがたい激しい肉体的…

安楽死を認めるか―過去の事件とその各論―

死ぬ権利はあるのかという疑問は、自分の中で答えが出ないままに膨れ上がってきたように思う。答えが出ないと分かってはいるが、それでも納得できる一つの自分だけのロジックくらいは持っておきたい。 様々な文献を読む中で、特に安楽死を認めるべきかどうか…

生きる手段としての”死”の提供

新年の目標として、平日は毎日記事を更新するつもりで、いた。書きたかったことはいっぱいあったし、書くことでいろいろと整理されていくことはあった。しかし、2/11をもって、終わってしまった。 敗因は、ネタ切れ。 三十くらいの記事を書いたら、意外にも…

”法”と”倫理”の重なる点はどこなのか

納得のできない判決というものがあったりする。たとえば自分の中での印象が強いものを挙げるとすれば、大津いじめ事件における判決。いじめと自殺の関係は認められたものの、責任は家庭にもあるなどの理由で賠償金の減額が起こっている。 自分は卒論で、こう…

"死ぬ権利"というものは存在するのか

もし仮に、ある人があなたに「死なせてくれ」と言って来たとして、あなたはどのように対応するだろうか。きっと、止めるだろう。しかし、こう言われるのだ。「自分の人生をどう終わらせるかは自分で決めていいはずで、あなたに干渉される筋はない」と。 死ぬ…

【後編】自死の予防因子について―『生き心地の良い町』より―

昨日の記事に続き、今回は後編を書きます。先に、こちらの記事をお読みください。 www.mattsun.work 前回の前編では、自死の予防因子として重要な心理的背景に関して考察をした。今回はそれとは異なり、この本の中で述べられている、歴史的及び地理的背景に…

【前編】自死の予防因子について―『生き心地の良い町』より―

先月末に読んだ、岡檀さん著の『生き心地の良い町』が、かなり名著(このような表現だと上から目線ですが)だと感じて、刺激を受けたので、その内容を今日と明日にわたってまとめてみることとした。生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある作…

「援助希求」を拒む。助けてくれるな。

自死の解決に、重要と思われるものはなんだろうか。 ひとつに、こんな意見があるだろう。希死念慮を持った人間に対して、そのことを誰かに相談できるような環境があるのがベストだろう、というものだ。この意見について、今回は考える。 よく、いのちの相談…