社会

少子化に関する思惑―出産ではなく流産をやめた社会―

少子化の議論を見ていると胸がキュッと締められる思いがある。何だろうな、これ、と思って少し考えると、やっぱり子どもは作りたくないと思っている自分への自己嫌悪だし、そうした考え方が「防ぐべきもの」という前提でほとんどの議論が進んでいることに因…

坂口恭平氏の『精神病は存在しない』という言説について

僕が尊敬してやまない人の一人です。坂口恭平。 僕の仮定ですが、いわゆる、精神病は存在しないのではないかと思ってます。もちろん落ち込むなどの症状はあると思いますが、精神病と診断されていることに決定的に疑問があります。ということで病気別の人の特…

『さよなら絵梨』から見るドラマツルギーについて

すごい漫画を紹介してもらったので紹介する。 shonenjumpplus.com ジャンプラから出ている『さよなら絵梨』というマンガ。主人公の優太が撮る動画のコマを基本に進む構成だが、何と言ってもこの作品の特徴は、読者視点の設定を常に揺さぶってくるという点に…

差別を肯定するべき人間と、差別を否定するべき神について

人間とは差別を否定するべき存在である、というのは現代の傾向として凡そ間違いのない考え方ではあるのだと思う。しかし最近の社会運動的な何かを見ていると、どうもそうではないよなあ、という気がしてならないのである。 そう思う一番の原因として、人間(…

選ぶしかない、という選択肢に選ばれているということ

最近は園子温の話でまた盛り上がっている。こんなことは以前にもやっていたんじゃないか、と思う。それがまさに小山田圭吾の事件だったんじゃないか。やっていることは許せない、時代が変わろうとも手をつけてはいけない行為。しかし、その時代において、そ…

学級閉鎖と言葉狩りから見る、第三次世界大戦

知人の知人くらいの関係性の人から、とても恐ろしい話を聞いてしまった。それに触発されるようにこの記事を書いている。 聞いたのはコロナ禍における小学校の話だった。今の小学校では(と一括りにしても、話を聞いた人の勤める小学校だけの話をどこまで一般…

軋むベッドでずっと寝ていた非国民の話

引っ越し作業がひと段落ついた。近場での引っ越しだったのでそこまで苦労はなかったけれど、それでも自力での引っ越しは初めてだったので、至る所でてんやわんやした。この記事も、Wifiが届かないアクシデントの中、カフェに逃げ込んで書いている。3月末が…

「好き」を仕事にする、という愚かなイマジナリー

好きなことを仕事にしたい、得意なことを仕事に生かしたい、そんな言葉を耳にするたびに胸がうずく。そう話す人たちの、世界を覗くレンズがあまりに透明すぎることへの気持ち悪さ。 好きなことというのは、自分のことだけ考えていれば良いことだからこそ「楽…

僕たちは永遠に歴史に勝てない

時がたてば何もかもが変わる。そんな当たり前のことが恐ろしいと感じるようになったのはいつからなのだろうか。 歴史の認識誤差が呼び起こす戦争 まさに今はプーチンへの非難がピークに達している時期だろう。この戦争も、歴史の認識誤差という、時間が経て…

「経済を止めると人が死ぬ」論争には徹底的に対抗したい

今では聞かなくなったが、かつてコロナが流行り出した頃の文句に、「自粛要請を出すのはいいが、経済を止めることでも人が死ぬ」みたいな文句をよく聞いた覚えがある。初期のころはあまり何も思わなかったが、よく考えるとこれはこれで相当におかしな話なの…

物理が化学に支配された世界の医療の話

※当記事は自分の医療の知識をもとに考察して書いています。専門的な知識を有さないので誤りがある可能性があります。もしその場合は指摘していただければ訂正をします。 このコロナウイルス蔓延防止に重きが置かれた現状で、いったい国という集合生命体は何…

「報告」の時代性とTwitter観について

Twitterをやめようか、と思い始めたのは今年に入ってからでした。月岡晴馬の名義でのアカウントは、たまに読んだ本を写真で撮ってあげるのを除いては、書いたこのブログの記事のアップロードを主な目的としていました。 それをやめたいと思うのは、SNSにそれ…

漂白される銀色世界とコロナ、個人主義の果てに【後編】

www.mattsun.work 前編では、管理主義から個人主義への推移で自殺が減り、個人主義をさらに過激にしたのがアドラー心理学ではないかという話をした。そこにコロナが介入した結果、どうなるのか。 コロナが必要としたのはウイルス免疫ではなくヒトの加害免疫 …

漂白される銀色世界とコロナ、個人主義の果てに【前編】

自殺を考えない日はないと言っても過言ではないほどの日々を過ごしている。このブログに書く記事だって何かしら最終的には自殺と結びついているし、小説を書くときだって、自殺をテーマにしない文章を書いたことは一度もない。 さて、話は横に飛び、現在ちょ…

1人で弔いなよ、1人で弔わせてあげなよ

5年前、僕も東京大学でセンター試験を受けた。 news.yahoo.co.jp そういう事件が増えた。いや、そういう事件を報道すると数字が取れる時代になった、と言った方が適切だろうか。小田原線や硫酸、ジョーカーの仮装、誰もがコロナで鬱憤のたまった異端児とし…

留まらない終末医療と、選挙カーと、僕が死ぬ動機

今月の初めくらい。かつてなく震えさせられる曲に出会った。 www.youtube.com だいぶ前の曲のようで、今まで知らなかったのがもったいない。amazarashiが中島美嘉に提供した楽曲のようで、First Takeでは中島美嘉の物しかないけれど、調べればamazarashiの弾…

生きるためのレシピ

日本人が生きるには、正規レシピがある。 誰の真似もすんな 君は君でいい 生きるためのレシピなんてない ないさーMr.Children 『終わりなき旅』よりー 桜井和寿が歌った。まるで、自分にそう言い聞かせるように。そう言っておかないとやっていられないだろう…

能力と運の狭間へ堕ちる【後編】

続きです。www.mattsun.work 前編ではほとんど自分の過去しか書いていなくて、読み返してなんやねんって思わずつぶやいた。自分って意外と過去語りしかしていないし、きっとそれほど今に進歩がない人生なのかもしれない。残念。 *************…

能力と運の狭間へ堕ちる【前編】

今思い返すと恐ろしいことだったな、と思うことがある。 その記憶は、自分の小学校時代までさかのぼる。自分は当時、全くも相反する概念を支持する環境に同時に所属していた。それは能力主義の学習塾と、運主義の小学校という二者である。 前者、学習塾は、…

LGBT理解増進法……理解?

昨今LGBTの話題はなんというかタイムリーで、同性婚の話題もあがれば、資本主義と弱者男性を結び付ける論調も登場するなど、さまざまなことが今の世では謳われている。雄の目的は雌の獲得であるという、我々が逃げられない性質はこの世をどんどんと不幸にし…

人と付き合う、5%の法則

もし義務教育から「人間関係」を基準に成績が付けられていたら、僕は高校にすら進学できていないと思う。人と付き合う上で、何か重要なものが欠けているとも思う。しかし、人と一切の付き合いをしなくても良い人間はいない。だから、人間関係を構築するうえ…

「政治」という言説の場に、感情はあるのか

自分は、政治というものになかなか関心を持ってこなかった。中学受験の時の社会の科目やセンター試験の倫理政経の科目のために少しだけ勉強したことを除けば、政治に関して勉強をした時間はほとんどゼロかもしれない。恥ずかしい話だが、本当に自分はここに…

【後編】自死の予防因子について―『生き心地の良い町』より―

昨日の記事に続き、今回は後編を書きます。先に、こちらの記事をお読みください。 www.mattsun.work 前回の前編では、自死の予防因子として重要な心理的背景に関して考察をした。今回はそれとは異なり、この本の中で述べられている、歴史的及び地理的背景に…

【前編】自死の予防因子について―『生き心地の良い町』より―

先月末に読んだ、岡檀さん著の『生き心地の良い町』が、かなり名著(このような表現だと上から目線ですが)だと感じて、刺激を受けたので、その内容を今日と明日にわたってまとめてみることとした。生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある作…

『役割』と『役柄』―中身と表層の話―

今月は、自死に関しての話をまとめることが多かった。その集大成のまとめとして、一つだけ声を大にして訴えたいことが、あるように思う。 自死と不幸は結び付かないと言うことだ。これは、以前の記事でも話したと思う。www.mattsun.work www.mattsun.work ww…

未来のために、自殺した人を”叩く”べきか

今後の日本において、自死で亡くなる人を減らすために、「自死で亡くなった人は叩くべき」「自死を選ぶのは悪いことと教育すべき」という意見がある。 これはある意味ごもっともで、確かに、「自殺を選んでもいいよ」と思わせるのには問題があるのだろう。し…

いじめ自殺はなぜニュースになるのか

卒論を書き終えたうえでの、主な考えをまとめる時期として今ブログを書いているので、今までに続いてしばらく自死の記事となります。 しばらく自分が研究室で考えてきたのは、デュルケームが言うところの「無規制社会が呼び起こす、止み難い渇きによる自死」…

厭世自殺の解釈〈明治に起こった自死の反転〉

自殺の一般のイメージと言えば、それは「未来を閉ざされた者が死を選ぶ」ということである。いじめ自殺や過労働による自殺のニュースが流れるたびに、故人を追い詰めたものに対するバッシングや、自死を防げなかったことに対する批判の声が相次ぐ。自死を防…

自立から依存へのパラダイムシフト

「依存」という言葉が、プラスの意味で使われることは、最近ではほとんど無いのではないか、と思う。つまり、依存という言葉は基本的に悪い意味で用いられる。―――何かに頼らないといけない情けない姿―――大げさに言えば、ここまで依存という言葉の持つ意味で…

自殺を明かす、無慈悲な手順 【後編】

三つの記事にまたがってまで何かを書いたのは初めてになる。前回と、前々回に書いた記事の、最後の付け足しを行うことにする。www.mattsun.workwww.mattsun.work とはいっても、自死の話は前回まででほとんど終えている。今回書くのは、そうした理論的な話と…