映画『Plan75』の感想

先日、『Plan75』を見た。 happinet-phantom.com 諸々、感想を書く。登場人物の名前があやふやなので、登場人物名ではなく役者名で書く。 『Plan75』の制度自体に関して 映画を見進めるたびに、これはPlan75という制度があれば国民は幸せになる、という意思…

生きたことへと返事を書く

ここ数か月ほど、陰湿とした気分が続いていた。3月に一編の小説を新人賞に応募してからは創作意欲がめっきり薄れ、何を書いていいのかも分からなくなって、ブログだけは5月中旬まで続いていたけど、それもめっきり書かなくなってしまい、もう応募すること…

『パラサイト』と嗅覚から始まるゾーニングについて

AmazonPrimeで『パラサイト』が見れるようになっていた。 www.parasite-mv.jp かなり面白かった。社会風刺みたいな映画と思って見たのだけれど、もちろんその要素がありながらコメディみたいでもあった。そりゃあ現実世界であんなことが起きれば悲劇だし、で…

少子化に関する思惑―出産ではなく流産をやめた社会―

少子化の議論を見ていると胸がキュッと締められる思いがある。何だろうな、これ、と思って少し考えると、やっぱり子どもは作りたくないと思っている自分への自己嫌悪だし、そうした考え方が「防ぐべきもの」という前提でほとんどの議論が進んでいることに因…

坂口恭平氏の『精神病は存在しない』という言説について

僕が尊敬してやまない人の一人です。坂口恭平。 僕の仮定ですが、いわゆる、精神病は存在しないのではないかと思ってます。もちろん落ち込むなどの症状はあると思いますが、精神病と診断されていることに決定的に疑問があります。ということで病気別の人の特…

『明け方の若者たち』から見る、社会の中間集団の解体について

優れた作品にまた出会ってしまったらしい。 akegata-movie.com 若者の「マジックアワー」として、カツセマサヒコさんが書き下ろした小説の実写化で、原作は読んでいないのだけれど、AmazonPrimeで配信されていたのをきっかけに見た。これってあれじゃん、と…

雑に書く

久しぶりに夢を見たんだ。ビルの8階にいた。突然停電で真っ暗になって、そしたらすぐに激しい横揺れが襲った。「地震だ」って誰かが叫ぶのと、そこらにある物がガラガラ崩れ落ちるのがほとんど同時で、どこかにしがみついて揺れが収まるのを待った。収まった…

『さよなら絵梨』から見るドラマツルギーについて

すごい漫画を紹介してもらったので紹介する。 shonenjumpplus.com ジャンプラから出ている『さよなら絵梨』というマンガ。主人公の優太が撮る動画のコマを基本に進む構成だが、何と言ってもこの作品の特徴は、読者視点の設定を常に揺さぶってくるという点に…

人の好みを判断するうえでの「麻酔コンテンツ」と「覚醒コンテンツ」

人からもらった造語なのだけれど、「麻酔コンテンツ」と「覚醒コンテンツ」というのは面白いコンテンツ分類だなあと思って、そのことをぼんやりと書いてみたいなあ、と思った。 ちょっとしたエピソードから話すと、いつしかの記事で紹介した、バイトの後輩の…

差別を肯定するべき人間と、差別を否定するべき神について

人間とは差別を否定するべき存在である、というのは現代の傾向として凡そ間違いのない考え方ではあるのだと思う。しかし最近の社会運動的な何かを見ていると、どうもそうではないよなあ、という気がしてならないのである。 そう思う一番の原因として、人間(…

『左ききのエレン』―才能を持たなかった全ての人たちへ―

マンガからこんなに高揚感を味わったのは久しぶりだ。タイトルは『左ききのエレン』。才能を持たぬ凡人である朝倉光一と、才能しかない自分に絶望しているエレン、その二者視点で描かれるクリエーター群像劇である。 左ききのエレン 1 (ジャンプコミックスDI…

故人の存在を『履く』ということ

已むに已まれぬ気持ちで記事を書くのは珍しい。頭の底から出してくれと叫ぶような何かがある気がして、それを探すような感覚で文章を書いている。 つい最近。今年も、高校のときに自死で亡くなった友人の墓参りに行った。これで六年目になる。もう六年、とい…

どうでもよいと思うのはどうでもよくないから。中庸から解脱したとき。

ちょうど自分の一個下の代が、この年から社会人になる代なのだけれど(浪人とか院進を除いて)、バイト先の一個下の女の子が、フリーター的立ち位置(そう呼ぶのが相応しいか分からないので濁した)の生活を送ることになったみたいだ。この時期はどうしても…

選ぶしかない、という選択肢に選ばれているということ

最近は園子温の話でまた盛り上がっている。こんなことは以前にもやっていたんじゃないか、と思う。それがまさに小山田圭吾の事件だったんじゃないか。やっていることは許せない、時代が変わろうとも手をつけてはいけない行為。しかし、その時代において、そ…

「モノ」と「者」から見る反出生主義のグラデーション

最近、またまたそんなことを考えている。いつまで考えるのだろうか。死ぬまでだろうか。 僕たちの中にはしばしば、子供なんか産めるものかと考える人がいる。それが少数派なのかどうかはいまいちわからない。ただその傾向が今までに比べれば強まっているのは…

読書レビュ―【2021年度下半期】

読書するとき、心に残ったものは一冊ごとにレビューを書くようにしたので、こんな本を読んだと全体的に総括するのは半年に一回くらいのペースがちょうど良いと感じるようになりました。この半年で読んだ本をパーッと振り返っておきます。 『そしてバトンは渡…

学級閉鎖と言葉狩りから見る、第三次世界大戦

知人の知人くらいの関係性の人から、とても恐ろしい話を聞いてしまった。それに触発されるようにこの記事を書いている。 聞いたのはコロナ禍における小学校の話だった。今の小学校では(と一括りにしても、話を聞いた人の勤める小学校だけの話をどこまで一般…

軋むベッドでずっと寝ていた非国民の話

引っ越し作業がひと段落ついた。近場での引っ越しだったのでそこまで苦労はなかったけれど、それでも自力での引っ越しは初めてだったので、至る所でてんやわんやした。この記事も、Wifiが届かないアクシデントの中、カフェに逃げ込んで書いている。3月末が…

エゴと加害性から逃げた先のシュールリアリズムについて

どうやら最近、僕はこのことについてばかり考えているように思う。ヒトはそこまで加害性から逃亡してどこに向かうのか。エゴと呼ばれる存在を徹底的に遠ざけるという名のエゴをエゴと呼ばずして、それはあまりに本末転倒ではないかと思うことがある。 そんな…

「好き」を仕事にする、という愚かなイマジナリー

好きなことを仕事にしたい、得意なことを仕事に生かしたい、そんな言葉を耳にするたびに胸がうずく。そう話す人たちの、世界を覗くレンズがあまりに透明すぎることへの気持ち悪さ。 好きなことというのは、自分のことだけ考えていれば良いことだからこそ「楽…

彩瀬まる『不在』が、本当に「不在」の物語だった

久しぶりに、読書でふるえた。 不在 (角川文庫)作者:彩瀬 まるKADOKAWAAmazon 彩瀬まるさんは、2010年に「女による女のためのR18文学賞」という賞の受賞でデビューされ、2017年には『くちなし』という作品が直木賞候補にものノミネートされている作家さんだ…

僕たちは永遠に歴史に勝てない

時がたてば何もかもが変わる。そんな当たり前のことが恐ろしいと感じるようになったのはいつからなのだろうか。 歴史の認識誤差が呼び起こす戦争 まさに今はプーチンへの非難がピークに達している時期だろう。この戦争も、歴史の認識誤差という、時間が経て…

「経済を止めると人が死ぬ」論争には徹底的に対抗したい

今では聞かなくなったが、かつてコロナが流行り出した頃の文句に、「自粛要請を出すのはいいが、経済を止めることでも人が死ぬ」みたいな文句をよく聞いた覚えがある。初期のころはあまり何も思わなかったが、よく考えるとこれはこれで相当におかしな話なの…

物理が化学に支配された世界の医療の話

※当記事は自分の医療の知識をもとに考察して書いています。専門的な知識を有さないので誤りがある可能性があります。もしその場合は指摘していただければ訂正をします。 このコロナウイルス蔓延防止に重きが置かれた現状で、いったい国という集合生命体は何…

下鴨の上手な登り方を考える【フリーター1年目の所感】

最近またまた病んでいた。 この時期はきつい。春が僕はもともと駄目である。全部を思い出すから。春にはいい思い出がない。高校の春は友人の自殺、大学の春は自分の自殺企図。冬を乗り越えれば満開の桜というキャッチなフレーズが僕には無意味だ。寒さが乗り…

『『だから僕は"人生"をやめた』』【後編】

www.mattsun.work 前編で話したのは、我々は恋愛ではなく失恋なのだということだった。 それを、ヨルシカの曲に重ね合わせ、そこにひとりの人生を投影してみたいと思った。 『だから僕は音楽をやめた』の歌詞に見てみる www.youtube.com 歌詞を全文載せてお…

『『だから僕は"人生"をやめた』』【前編】

『だから僕は音楽をやめた』というのは、ヨルシカという音楽グループの曲だ。もう3年前の曲だが、ひょんなことから知ることになり、初めて聞いたとき、ああこれは、本質の曲だ、そう感じてしまった。 www.youtube.com だから僕は音楽をやめた。それは、ただ…

教習所で出会った、無敵のおっちゃんの話

バイクを買ったことは先日の記事で書いたのですが。 今回は、そこで出会った、おもろいおっちゃんの話。 www.mattsun.work 薬物のドラッグがDrugなのでドラッグスターもそうだと思っていたのですが、正しくはDragstarでした。Dragの意味は確か「引っ張る」で…

「報告」の時代性とTwitter観について

Twitterをやめようか、と思い始めたのは今年に入ってからでした。月岡晴馬の名義でのアカウントは、たまに読んだ本を写真で撮ってあげるのを除いては、書いたこのブログの記事のアップロードを主な目的としていました。 それをやめたいと思うのは、SNSにそれ…

衝突を伴わないリベラルからの逃走

先日、電車内でタバコを吸っていた男の傷害事件があった。 news.yahoo.co.jp 加害者は当然逮捕、重傷を負った男子高校生には気の毒だと身を案ずる声が多数寄せられた。 その中で、この男子高校生を「勇気ある行動だ」と讃えるコメントを散見するが、どうして…