集団からの撤退と始動

新年度になり、気持ちは不思議と安定してきている。 大学生という身分が消えたことで、何者でもない自分をぼんやりと俯瞰する。今まで1500円で見られた映画は1800円払わないといけなくなるし、学生証を見せると100円引いてくれた近くの定食屋での割引はもう…

"できない"を伝えること

大学を卒業してから進路がないので、バイトは当然、生活に必須のライフラインとなる。これをなくせば破産の道が待っていて、生活保護まっしぐらだ。 そんなバイトで、かなり気がかりなことがあって、その問題が最近、ようやく解決された。 大学二年生から続…

京都大学卒業にあたり ―私の体はどこにあるのか―

京都大学を卒業した。学生の身分を終えた今、見えたものを大事にしようと飛び込んだ総合人間学部の二年の期間は一瞬で過ぎたように思う。 この2年の間、就活や院試の勉強に自分は励むことなく、卒業した後には無職の道をたどることになった。直接の原因とし…

京都大学で転学部して分かった"渇きへの欲望"

卒業式を三日後に控えている。しかし、そうした実感がまるでない。 だから在学した証を少しでも残したくて、転学部を振り返る。自分にとって転学部を言い換えれば、「"渇き"に身を投じたこと」である。これは、一種の投身自殺かもしれない。 転学部した際の…

自死遺族をそっとしておくことは健全な策か?

昨日、初めて一日に二つの記事を書いたが、溜まっていたものをパッと出せたのですっきりした。性に関して加害と被害の関係から、男性視点で起き得る問題を指摘した。www.mattsun.work www.mattsun.work 性を加害被害の関係でしか捉えられてこなかった自分は…

男性にとって女性は”報酬”なのか【後編】

前回の記事の続きです。www.mattsun.work 前回、セックスやジェンダーにおいて起こる加害と被害の関係を完全に取り除くのは不可能ではないかという話をしたところだった。加害者には「享楽を与える者」としての側面があることは認めなければならず、その恩恵…

男性にとって女性は”報酬”なのか【前編】

最近、性の対立構造について考えることが増えた。長いこと考えてしまうと、それは大層生々しい気持ちになって後味が悪い。 別に、男と女というそれだけの話なのに、生々しい感情になってしまうのはどうしてだろうか。それは未だ自分が、男性と女性の関係を「…

嘘つき人間。

今でもよく覚えている。高校一年生の時、火曜日の一時間目は世界史の授業だった。 火曜日の朝、高校の最寄り駅についた時、僕は欠かさず行う一つの習慣があった。改札を出る時に駅員窓口を一瞥し、どこかの路線が遅延したことを証明する遅延証明書を探し、も…

死にたくて生きたい。

カーテンレールにもやい結びでたこ足をくくりつけると、私の気はとても和らいだ。首さえ通せばここでいつでも死ねるという安心感と、今まで自分の一人の空間として大事にできた家の空間を、自分だけの処刑台にできたような満足感。死にたくなったらいつでも…

心配されることへの”抗議”

「人に心配をする」という感情がある。 知っている人が事故にあったりなんかした時に、その人の安否や状態が気になって「大丈夫かな、無事かな」なんて思う。この感情を、我々は、他人を思いやる素晴らしい感情だとして教育されてきた。 しかし自分の身近に…

黒い春と、怖かったコーチ

今年の春も、黒そうだ。二年連続で、黒い春を迎えようとしている。 部活動、二回目の引退。僕の部活生活は、二回目も続かなかった。 一年目は、言うまでもなくコロナと、あとは病気になったことで練習にもあまり行けなかった。 二年目は、コロナと病気が収ま…

人と付き合う、5%の法則

もし義務教育から「人間関係」を基準に成績が付けられていたら、僕は高校にすら進学できていないと思う。人と付き合う上で、何か重要なものが欠けているとも思う。しかし、人と一切の付き合いをしなくても良い人間はいない。だから、人間関係を構築するうえ…

【まとめ】2月に読んだ本

今月は思ったよりも読書がはかどらなかった。理由は1冊目の『倫理学入門』に1週間もかけてしまったこと、など。 『倫理学入門』品川哲彦 『 名も無き世界のエンドロール』行成薫 『完全自殺マニュアル』鶴見済 『ファーストラヴ』島本理生 『ドクターデスの…

3月が怖い。

厳しい寒さを終えて暖かい春がやってくるなんて、嘘だ。 卒業の時期が近づいてくると、何かモヤモヤしたものが近づく。 僕が楽しんでいいのかなという不安。あとは、それを迎えたかったはずなのに迎えられなかった人を思ったときのやるせなさ。 僕はなんで、…

安楽死を認めるか―自己決定の観点より③―

自己決定の観点から安楽死を考えるのは、これで最後にしようと思う。前回の二個の記事をまとめると、①では「自己決定」という言葉による自己の体と心の距離の話、②では自己決定と権利という言葉の意味を深く考えた。 www.mattsun.work www.mattsun.work 今回…

安楽死を認めるか―自己決定の観点より②―

前回の記事に続き、安楽死を認めるうえで重要な議論になるであろう「自己決定」を考察していく。前回は、自己決定という概念を、「私自身と、私の体の間にある距離感」という観点から考えた。今回はそこに続く話でもあるので、ぜひ確認してもらえると嬉しい…

安楽死を認めるか―自己決定の観点より①―

前回の記事で、日本でもっとも有名であろう二つの安楽死事件を取り上げたうえで、その判決に関しても記載した。 www.mattsun.work くどいようだがもう一度振り返っておくと、安楽死において重要となった用件が、以下である。 1患者が耐えがたい激しい肉体的…

安楽死を認めるか―過去の事件とその各論―

死ぬ権利はあるのかという疑問は、自分の中で答えが出ないままに膨れ上がってきたように思う。答えが出ないと分かってはいるが、それでも納得できる一つの自分だけのロジックくらいは持っておきたい。 様々な文献を読む中で、特に安楽死を認めるべきかどうか…

生きる手段としての”死”の提供

新年の目標として、平日は毎日記事を更新するつもりで、いた。書きたかったことはいっぱいあったし、書くことでいろいろと整理されていくことはあった。しかし、2/11をもって、終わってしまった。 敗因は、ネタ切れ。 三十くらいの記事を書いたら、意外にも…

”法”と”倫理”の重なる点はどこなのか

納得のできない判決というものがあったりする。たとえば自分の中での印象が強いものを挙げるとすれば、大津いじめ事件における判決。いじめと自殺の関係は認められたものの、責任は家庭にもあるなどの理由で賠償金の減額が起こっている。 自分は卒論で、こう…

"死ぬ権利"というものは存在するのか

もし仮に、ある人があなたに「死なせてくれ」と言って来たとして、あなたはどのように対応するだろうか。きっと、止めるだろう。しかし、こう言われるのだ。「自分の人生をどう終わらせるかは自分で決めていいはずで、あなたに干渉される筋はない」と。 死ぬ…

「政治」という言説の場に、感情はあるのか

自分は、政治というものになかなか関心を持ってこなかった。中学受験の時の社会の科目やセンター試験の倫理政経の科目のために少しだけ勉強したことを除けば、政治に関して勉強をした時間はほとんどゼロかもしれない。恥ずかしい話だが、本当に自分はここに…

論文なんて、やめちゃえよ。

ちょうど少し前に、卒業論文の審査会が終わった。Zoomで15分間喋って、学部の学系の先生に聞いてもらい、その後簡単な質問をされる。 あまり面白いイベントではなかった。今年、卒論関係で人と話したのは、研究室のコピー機を借りた時だけ。それ以外は全部オ…

【後編】自死の予防因子について―『生き心地の良い町』より―

昨日の記事に続き、今回は後編を書きます。先に、こちらの記事をお読みください。 www.mattsun.work 前回の前編では、自死の予防因子として重要な心理的背景に関して考察をした。今回はそれとは異なり、この本の中で述べられている、歴史的及び地理的背景に…

【前編】自死の予防因子について―『生き心地の良い町』より―

先月末に読んだ、岡檀さん著の『生き心地の良い町』が、かなり名著(このような表現だと上から目線ですが)だと感じて、刺激を受けたので、その内容を今日と明日にわたってまとめてみることとした。生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある作…

元気をもらった曲。ご紹介。

たまには息を抜いた記事を書こうと思って、ただただ、今まで元気をもらった曲を紹介しようと思う。 やはり、人の声を聞くというのはとても重要なのだと思う。 僕の場合は、マジでこの世からいなくなりたい、くらいに思ったときに聞く曲を選んでいるので、ど…

「援助希求」を拒む。助けてくれるな。

自死の解決に、重要と思われるものはなんだろうか。 ひとつに、こんな意見があるだろう。希死念慮を持った人間に対して、そのことを誰かに相談できるような環境があるのがベストだろう、というものだ。この意見について、今回は考える。 よく、いのちの相談…

殴りたくなるような過去に、死ねと言いたい

取り返しのつかないミス、というものがある。 他のミスは取り返しがつく、というのは少し表現が傲慢かもしれない。受験に失敗したとかを「取り返しのつかないミス」ということは少ないかもしれないが、現役で第一志望に合格という経験は一生できないから、こ…

【まとめ】1月に読んだ本

一月に書く記事はこれで最後なので、読んだ本を一覧で紹介することにした。特に、今年からは読書をする量が圧倒的に増えた気がする。一月の前半は卒論でバタバタしていたのであまり時間を割かなかったが、後半から主に読書をはじめ、五冊読めたのでそこそこ…

『役割』と『役柄』―中身と表層の話―

今月は、自死に関しての話をまとめることが多かった。その集大成のまとめとして、一つだけ声を大にして訴えたいことが、あるように思う。 自死と不幸は結び付かないと言うことだ。これは、以前の記事でも話したと思う。www.mattsun.work www.mattsun.work ww…