漂白される銀色世界とコロナ、個人主義の果てに【後編】

www.mattsun.work 前編では、管理主義から個人主義への推移で自殺が減り、個人主義をさらに過激にしたのがアドラー心理学ではないかという話をした。そこにコロナが介入した結果、どうなるのか。 コロナが必要としたのはウイルス免疫ではなくヒトの加害免疫 …

漂白される銀色世界とコロナ、個人主義の果てに【前編】

自殺を考えない日はないと言っても過言ではないほどの日々を過ごしている。このブログに書く記事だって何かしら最終的には自殺と結びついているし、小説を書くときだって、自殺をテーマにしない文章を書いたことは一度もない。 さて、話は横に飛び、現在ちょ…

1人で弔いなよ、1人で弔わせてあげなよ

5年前、僕も東京大学でセンター試験を受けた。 news.yahoo.co.jp そういう事件が増えた。いや、そういう事件を報道すると数字が取れる時代になった、と言った方が適切だろうか。小田原線や硫酸、ジョーカーの仮装、誰もがコロナで鬱憤のたまった異端児とし…

そんなのボクには痛くない

水曜のダウンタウンで、かつて面白い企画があったのを思い出す。 町をゆく人も、何かしらそれを持っていた。 たまたま生きているということ ボクたちが生きているのは、各場面での「99%」を寄せ集めた上での偶然に過ぎないということは、せわしなく生きる中…

健やかな論理と、痛みの掃き出し【『どうしても生きてる』を読んで】

「やっぱな、自殺じゃないんだよこんなの。わかってたことじゃん」 第一話の『健やかな論理』にて1ページ目に登場したこの台詞を見て、その題の「健やか」という形容詞の意味するところが脳の奥にまで染みわたったような感覚を憶えられただけで幸せだった。…

文学の"高尚性"に関する議論

しばしば文学は、その高尚性を議論されることがある。高尚性というのは言い換えれば、敷居の高さのようなものだ。芸術作品の中でも、例えば音楽なんかに比べると、文学の方がとっつきにくいような印象を持つ人が多いと思う。 要因は様々だろう。簡単に思いつ…

健やかな論理の中で生きるということ

わかるわかる、と依子は言いながら、拳の付け根で口の端についたパスタのソースを拭った。わかるわかる、と二回も繋げられた単調な動詞は、私ではなく依子に言い聞かせるための言霊に思えた。「ほんと?」 メニューの中でも特に濃厚なパスタを咀嚼する口を全…

目には目を、殺人には殺人を。加藤智大『解』を読む

人を殺すことを認めないこの国で唯一認められている殺人は、死刑制度である。法の下に裁かれた場合のみ、他者の命を奪うことが正当化される。 死刑制度に関する賛否は両論ある。死刑制度に賛成するときには、死刑を課せられるほどの重罪を犯した者の命を保証…

2022年と小説のはなし。

2022年になりました。 がやがやしたところで過ごすのが好きではないので、今年は家で寝ながら新年を迎えようと思っていました。「今年もいい年にしたいです!」なんて言う人の眩しい笑顔も見てられなくて、テレビもつけませんでした。 と思っていたのですが…

年の暮れ、反転する世界

「しんどいよね、年末年始って」 除夜の鐘の音は、脳の底を撫でるように響く。 「自分が誰の一番でもないってこと、思い知らされるっていうか」 画面の中では、双子だろうか、幼い男女の兄弟が、お揃いのダウンジャケットを着て楽しそうにはしゃいでいる。 …

飾り飾られないと、生きていけない言葉たちへ

「あのさ、精神科って分かってる?」 俺は影山の顔を覗いた。膝の上で固く手を組み、涙目で地の一点を見つめている。絶対にこちらには目を合わせないという硬い意志が見てとれた。 「精神科っていうのは、神経細胞の伝達とかに不備があって、それが心理的な…

嘘で気化する誰かのバトン【『そして、バトンは渡された』を読んで】

注 当記事は、小説『そして、バトンは渡された』のネタバレを含みます。引用を各所から行うだけなのでストーリーの概要には触れませんが、今後作品を楽しむ予定がありましたら、自己責任で読んでください。 ****************** 早瀬君がそ…

自死を語る者の"ハピネス・バイオレンス"

一つの記事になるくらいに面白いことがあったので、せっかくできたネタを無駄にはしまいと、さっそく記事にしました。 自死に対する意識の話です。自死を防ぐために「備えておこう」と考える人たちと、幸せになることのとてつもない暴力性について。この日本…

留まらない終末医療と、選挙カーと、僕が死ぬ動機

今月の初めくらい。かつてなく震えさせられる曲に出会った。 www.youtube.com だいぶ前の曲のようで、今まで知らなかったのがもったいない。amazarashiが中島美嘉に提供した楽曲のようで、First Takeでは中島美嘉の物しかないけれど、調べればamazarashiの弾…

生きるためのレシピ

日本人が生きるには、正規レシピがある。 誰の真似もすんな 君は君でいい 生きるためのレシピなんてない ないさーMr.Children 『終わりなき旅』よりー 桜井和寿が歌った。まるで、自分にそう言い聞かせるように。そう言っておかないとやっていられないだろう…

働くこと、そして、人を助けるということ【後編】

以下の記事の続きです。 www.mattsun.work 上記事末尾で書いたような、所謂「むき出しの善意」というものには、デメリットがあるのは明らかです。それは、その搾取のしやすさにあるでしょう。つまり、これだけのことをしてやれば、あいつはこれくらいの見返…

働くこと、そして、人を助けるということ【前編】

仕事をやめました。 2021卒で大学を出て、バイトで生活を食いつなぐも、今後の様々な可能性を考えて資金をためておくという意味でできることをしておかねばという思いで仕事を始めていました。ちょうど二か月ほど前からです。派遣会社を仲介して紹介してもら…

反出生主義と安楽死―「生まれてこないべき」と「今死ぬべき」の境界―

たまにTwitterでこんなプロフィールを見かけることがある。 「安楽死」は当然の権利、反出生主義者 それを見るとき、僕にはどうしても違和感が拭えない。安楽死と反出生主義は対立概念ではないかと僕は考えているからだ。 ****************…

己が自殺を思いとどまること、他人の自殺を止めること

自殺の計画を本気で立てたのは三回目だった。 一度目は去年の春だった。ちょうどコロナが蔓延し出し、国民がやっと危機意識を持ち出す雰囲気が出てきた頃だ。精神科で渡された抗うつ薬の副作用がきつすぎて、部活の引退試合に出られないことが決まった時だっ…

言論のリベラルに"余白"を考える

小学一年生の時の話だ。当時の担任の教師が、学級を運営するにあたって絶対に放ってはいけない言葉というものを制定していたのを思い出す。その言葉は七つだった(この七という数字だけ何故か鮮明に覚えている)。死ね、キモい、ウザい、クサい、あと三つは…

早く楽になりたい

もう就職してしまいたい、と、大学を出てもう半年ほどになるのだが、そんなことをもう百回は考えたと思う。早く就職してしまいたい。目の前の社会のサイクルに、とっとと参加してしまいたい。 僕は彼が憎い。死にたいと思ったときにそれを実行できてしまった…

ワクチンをそれでも打ちたくない理由

ワクチンを打たない派の私です。 これがどう捉えられるか、というのはあまり分からないのですが、しかし「打てばいいじゃん」という意見が大多数で、それに歯向かうことが善行として捉えられることはないでしょう。 単純に言うと、死生観の問題かな、と僕は…

能力と運の狭間へ堕ちる【後編】

続きです。www.mattsun.work 前編ではほとんど自分の過去しか書いていなくて、読み返してなんやねんって思わずつぶやいた。自分って意外と過去語りしかしていないし、きっとそれほど今に進歩がない人生なのかもしれない。残念。 *************…

能力と運の狭間へ堕ちる【前編】

今思い返すと恐ろしいことだったな、と思うことがある。 その記憶は、自分の小学校時代までさかのぼる。自分は当時、全くも相反する概念を支持する環境に同時に所属していた。それは能力主義の学習塾と、運主義の小学校という二者である。 前者、学習塾は、…

読書レビュ―【2021年度上半期】②

前回の続きです。 www.mattsun.work ******************* 『正欲』朝井リョウ 正欲作者:朝井リョウ新潮社Amazon 自分が書きたかったもの、先回りして書かれました、感。 全部言葉にされた、悔しい。 たぶん該当する人にとっては、一番初…

読書レビュー【2021年度上半期】①

一か月もブログを書かなかったのは、今年になって初めてです。なんとPV数はみるみる減り、お小遣い程度に稼げていた広告収入も半分ほどになりました。 書くことがなくなってきた、というより、あまりに日常生活で刺激をもらうことが減ってきている気がして、…

他人の幸せが許せない人

オリンピックの反対派閥に、次のような理屈を訴える人がいます。 子供の運動会、部活動の地区大会、行きたかったライブ、また他の様々な式典が中止されているのにオリンピックだけは出来るというのは分からないという言い分です。言ってしまえば、我々が我慢…

プロローグ

誰かと分かりあうことは、時にとてつもない苦労を伴う。 その苦労の正体を見定めるのに必死だった。 苦労は何故にあるのか。その答えとして一般人が用意する様々な答えに私は辟易してきた。 ――今の苦労が将来には光に変わるんだ――――生きる意味は死んだときに…

それでも彼らは”老害”になる―部活動と再現性―

大学を卒業し、部活にも顔を出さなくなってかなり時が過ぎたように思う。顔を出さなくなった、と言っても、コロナの制限で物理的に顔を出せないわけだが、そんな中かつての同級生と会う機会があり、久しぶりに部活の話をした。時代の背景上、OBと現役の交流…

優しくなれる、幸せな人たち。

この世には、優しくなれる人たちと、優しくなれない人たちがいる。 僕は優しくなれる人だ。他の大勢も、ほとんどが、優しくなれる人たちで構成されている。 他人に優しくあることは美徳である。困った人がいれば助け、自分が困った時に助けてもらえる、それ…